Craftmanship

アメリカン・ヘリテイジな品々をデザインベースとするPEACE Leather craft のアイテムは、高品質なサドルレザー(昭南グレージングベンズ)と真鍮無垢の金具を組み合わせ、オールハンドメイドで制作しています。
そして、長年ご愛用いただき、唯一無二の相棒としていただくために、素材、制作工程のすべてにおいてこだわりをつくしています。

革へのこだわり
姫路産の昭南グレージングベンズ。
フルベジタブルタンニン、ピット鞣しです。

長期間かけて鞣すことで、豊富なタンニンと油分を含み、美しい飴色へと変化します。

様々な部位の中で最も繊維の安定したベンズ(背中)のみをグレージング(表面をガラスで磨き上げる)まで施した極上の革を使用しています。※一部商品除く
表面を大きく加工せず革本来の自然な風合いを大切にし、動物自体のキズやシワ、場所ごとの色の差異も存在します。天然素材ということをご理解の上、お楽しみいただけると幸いです。

手作業による染色(丘染め)
ヘリテイジな品々をデザインベースとするPEACEでは、革を芯まで染める技術が確立していなかった当時に倣い、表面だけを染色。
コバや裏面は革本来の茶色がのぞき、スレや退色、コバや裏面の深い色への変化といった経年変化も味わえます。

※シワや毛穴からコバや裏面に染料が滲むことがあります。これは初期から出る場合や、オイル等の浸透ででる場合もあります。特性としてご理解ください。
※革が湿っている場合、色移りすることもあります。ご注意ください。

ハンドカットへのこだわり
よく研いだ革包丁やカッターを直線や曲線に応じて使い分けて裁断しています。
これにより、コバの繊維が美しく断ち切られた状態を維持し、後のコバ処理も美しく仕上がります。

縫製 シニュー糸

古くは動物の腱で縫われていたアメリカンレザークラフト。その腱をナイロンで再現したものがシニュー糸です。

表面に塗られたワックスが使い込むことで落ち、白く経年変化することが魅力と言われます。

PEACEでは各社のサンプルを取り寄せ、『動物の腱に近い色から白く経年変化するもの』を厳選して使っています。

この『動物の腱に近い色のワックス』の色味は近年で徐々に変化しています。

これには理由があり、

当初使用されていたブラウンワックスは、最近になって稀にアレルギーの原因となることが発覚しました。

このことから、『動物の腱に近い色から白く変化するシニュー糸』ではブラウンワックスの使用を避け、現在では全体的に黄色味の強いものへと変わってきています。

変化の中でPEACEは常に、より良いシニュー糸を模索し続けています。

このことから、使用するシニュー糸はこれまでと今、今とこれからで異なります。

革・シニュー糸を使い込み、育てる過程を楽しんで頂ければ幸いです。
※一部商品はビニモMBTを使用

ハンドソーン・サドルステッチ
手縫いでの縫製は、ひと目ごとに糸がクロスすることで、仮に一箇所糸が切れても全体的にほつれてしまわないことがメリットです。
さらにPEACEでは、サドルステッチに両面斜め縫いを組み合わせて縫い上げることで、表面・裏面ともに糸目が斜めに並んだ美しいステッチとなるように縫製しています。

コバ仕上げのこだわり
コバ(革の断面)の美しさは、レザーアイテムの美しさを大きく左右するものだと考えています。
多くの場合、コバに処理剤を塗って磨き上げることで、平滑なコバとします。(写真左)

PEACEでは、コバを処理剤等で磨き上げた後、熱した鏝でワックスをコバに溶かし込み、平滑になるまで長時間かけて磨き上げ、美しい艶を放つコバに仕上げています。(写真右)
※ベルト等一部商品は除く

【コバ仕上げについて補足】

ラフな仕上げ〜樹脂コーティングまで、作者ごとに多くの仕上げ状態・好みも様々に存在すると考えます。

その中でPEACEでの革貼り合わせ〜コバ仕上げは、

弱めの接着〜縫製した後、CMCやコバワックスで磨き上げています。

強力な接着剤で完全に接着しての一体化や樹脂・顔料などでのコーティング仕上げはしていません。

平滑性や段差の除去、ツヤ感等にかなりこだわって作業していますが、

湿度変化等での収縮、使用での曲げ伸ばし等様々な要因により、重ね合わせのコバに隙間がでることがあります。

PEACEがこの技法を選ぶ理由として、

「長年使ってほしい」「経年変化を楽しんで育ててほしい」との想いから、

将来的な修理の際、

・剥がした革が激しく伸びたり、痛む(強力な接着剤)

・コバの樹脂が分解時に割れる、後に大きく削り落としての再処理が必要(樹脂・顔料コート)

という革へのダメージをなるべく避け、

使い込んで育った革を可能な限り残して修理したいとの想いで、技法を選択しています。

ご理解いただけると幸いです。

この他にももちろん、設計面での使いやすさへのこだわりや、デザイン面での細かなこだわりなど、妥協のない品物作りがポリシーです。
ぜひ、PEACEのアイテムを手にとって、味わっていただきたく思います。